おもしろミャンマーコラム

【瞑想の国ミャンマー】 瞑想センター取材日記 「スリヤさんのケース」

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マハシ瞑想センターに取材に行ってきました…

 
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日本ではあまり知られていませんがミャンマーは瞑想文化が大変に盛んな国なんです。

「えっそんなの聞いたことない、迷走の間違いだろう?」って!

確かにこの国は迷走もしちゃってますが、ほんとに瞑想者も多い国なんです。

瞑想施設、瞑想センターが全国に数千か所あり、そこで多くのミャンマー人が瞑想に勤しんでいます。

瞑想参加希望者はミャンマー人なら誰だろうと受け入れていますし、外国人を受け入れている施設も少なくありません。

なぜ外国人を受け入れているセンターとそうでないセンターがあるのかと言うと、英語を理解できる人がいないセンターでは外国人瞑想者とコミュニケーションが取れないので受け入れていないだけです。

たとえ外国人でもミャンマー語が話せ理解できるのであれば全国ほとんどの瞑想センターで受け入れてくれるようです。

参加期間はセンターによって違います。10日間コースと言うのを毎月一回行っているところがあれば、一年中いつ施設に入ってもよいし、いつ出て行っても良いという道場もあります(ただし最低一週間以上いないといけないなど最低期間は定められています)。

費用は一日いくらと決まっているところもあれば、無料あるいは最後の日に「いくらでも気持ちをお布施して下されば結構です」というところなど様々です。

もし、一日の参加費が決まっていたとしても、日本円で1日200円とか300円とかだいたいそのくらいの額が多いようです。

その費用には宿泊施設と食事(1日2食)が含まれています

ある外国人は、瞑想センターにこもって何年間も瞑想している人もいます。

外国人の国籍は様々でアジア系は勿論、ヨーロッパ系やカナダ、アメリカ系、時として中南米系の人も混ざっていたりします。

アジア系の修行者はベトナム、韓国人が最も多くそこに中国、インド、マレーシア、シンガポール、日本人などあらゆる国籍者がちらほら混ざっている感じです。

瞑想道場、瞑想センターも実に様々な形態、種類、方法のものがありますが、ほとんどは仏教を基軸にした瞑想法です。

今日はその中からミャンマーで最も規模の大きい瞑想センターであるマハシ瞑想センターのヤンゴン総本山を訪問した模様をお伝えします。
 

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外国人がなぜここで瞑想を?


ヤンゴンの中心部に近いバハンという地区にあるマハシ瞑想センターの総本山。

訪れてみて驚いたのはその敷地の広さ。

広大なエリアの中に無数の建物があり、そのすべてが瞑想に関連する建物というから驚きです。

常時数百人から多い時で数千人の人々がここで瞑想に没頭しているそうです。

その瞑想者のほとんどはミャンマー人ですが、外国人もちらほら混ざっています。

広大な敷地内にはマハシ長老のミュージアムや巨大な法話ホールなどがあったり、またかなり奥まったところには外国人専用の瞑想兼宿泊施設もありました。

外国人専用の瞑想施設

そこが大都会ヤンゴンの中心部に近い所だとは思えない非常に落ち着いた清浄な空気流れる場所だったのが印象的でした。

外国人瞑想施設の中に入らせていただくと2階の瞑想ホールで沢山の外国人瞑想者が座禅を組んでいました。

外国人瞑想者は普通の私服で瞑想しているいわゆる在家者とそれから袈裟を来ている出家者が混ざっていました。

ここで一つの疑問が沸き起こりました。

なぜ、外国人たちがわざわざミャンマーにまで来て瞑想をしているのだろう?

あるものは出家までしている。

その謎を晴らすべく一人の修行者に話を伺ってみました。

その修行者の名前はスリヤ(出家名)さん。

韓国人の男性で年齢は22歳。

スリヤさんは10カ月前に生まれて初めて韓国からミャンマーに来て、生まれて初めてここで出家してそのまま修行一筋の生活に入られたそうです。

スリヤさんの一日のスケジュールは、

朝の3時半起床

4時から1時間瞑想し5時半から朝食

7時から10時まで瞑想し10時半から昼食

午後の瞑想は12時から夜9時まで

就寝は10時

瞑想は1日中座りっぱなしと言うことではなく、座る瞑想と歩く瞑想を1時間ずつ交互に行うのだそう。

修行生活はさぞや辛いのでは? と聞いてたところ、「初めは座ることだけではなく、食事も天気も慣れない事ばかり、辛い時もありましたが今では当たり前になりました」

「それに、辛いこと大変な事は在家の暮らしにだってあることで、ここでは瞑想すること以外何も考える必要が無く、とても心静かに快適に暮らせています」

「瞑想することが好きな人にとっては、ここは逆に天国ですよ!」

という返事でした。

なるほど!

しかし、気になるのは若干22歳の彼がどうして韓国からわざわざミャンマーくんだりまで来て瞑想しているのか

そのあたりを突っ込んんで質問をしてみたところ、意外にもためらうことなくオープンになおかつ詳しく教えて下さいました。
(本当にありがとうございました)
 
 

メンヘラだったスリヤさん

韓国には徴兵制があることはご存じだと思います。

彼も二年間の務めを果たしましたが、兵役はまさに地獄そのものだったそうです。

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兵役義務時代のSさん

先輩兵や上官たちから理不尽ないじめやしうちを毎日受け続けしだいに心が病んでいきました。

彼だけが特別いじめを受けていたわけではなく新人は誰もがひどい扱いをうけるのだそうです。(この問題は韓国の社会問題としてよく取り上げられ、最近では徐々に改善してきているそう)

どのような苛めかというと夜の性活動の相手をさせられたり、いろいろ詳しく話して下さいましたがここではとてもじゃない書けないことばかりでした。

「時には耐えきれなくなった新人兵が、手榴弾で上官たちを巻き込んで自爆自殺することもありましたよ!」

兵役期間が終わり一般人に戻ったスリヤさんでしたが、兵役中に受けた心の深い傷が癒えることはありませんでした。

そして心に空いてしまった穴をうめるために酒と女に明け暮れ。

昼夜が逆転したすさんだ日々をおくっていたそうです。

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兵役終了後のスリヤさん

彼の家庭は裕福で、けっこうな額が彼のポケットに自動的に入って来ていたそうで、それがかえって事態をわるくしていきました。

荒れた生活は終わることなく日々エスカレートしていきました。

最後にはドラッグにも手を出すようになっていき、本人自身も「これはヤバイ」と感じ始めたそうですが止めることが出来ないでいました。

荒れはてた彼の姿に愛想を尽かし、多くの仲間や親戚が彼から離れていきました。

彼自身深い自己嫌悪におちいり、しかし出口が見つからずに途方にくれもがいていたある日、彼の家族が見るに見かねてアドバイスしたそうです。

「ミャンマーにはだれでも気楽に修行できる環境があるらしい、いっぺん行ってみてはどうだろうか?」

家族は彼の扱いに手を焼いていて、一旦自分たちから離れた所におきたかったようなのです。

「やっと救いがやってきた!」そう感じたスリヤ君、二つ返事で話を受け入れすぐに段取りをしてくれるように周りの人々にたのみました。

そしてここミャンマーに来て出家をし、ただすわるだけの静かな毎日をおくるうちにしだいにものの感じ方、考え方が変ってきたそうです。

「荒れ果てていた私の心は瞑想によりすっかり落ち着きを取り戻すことが出来ました」

「また瞑想してみて分かったことは、自分が自分と思って来たものは自分ではなく、自分ではないと思っていたすべてのものが実は自分だったということです」
 
 

瞑想する理由は人それぞれ

スリヤさんの例は一例に過ぎません。

瞑想者たちが瞑想する理由や目的はそれぞれに違うようです。

ある者はキャリアや経歴を充実させる為に、あるものは一時的に浮世から離れたい為に、あるものはただ飯が食えるから、あるものは純粋に「悟りを開く」為。

100人いたら100人、それぞれ目的が違うのだそう。

皆が皆「悟りを開く」為に瞑想センターで修行しているわけではないという意外な事実を知り唖然とした取材者でした。
 
 

うらやましいミャンマー文化

私はこの取材を通じとてもミャンマー人がうらやましくなってしまいました。

人生と言うのは誰でもいろいろあります、良い時期悪い時期、スランプの時期、絶望の淵の時期。

人生というのは様々な局面が訪れますが、自分の心がピンチだと感じた時に一旦浮世を離れ短期の出家生活あるいは瞑想生活を送ることによって、ネガティブな循環に入っていた生活を修正することが出来ます。

静かな環境に身を置いて、自分の置かれている位置を客観的に再認識し、もしどこかに問題があるとしたら、その解決策がひらめくかもしれません。

誰でもいつでも簡単に出家生活や瞑想が出来るのは、ミャンマーの国民の大多数である仏教徒が一丸となってそのような文化を支えているからです。
 
 

さいごにスリヤさんの言葉

さいごに清々しいスリヤさんの言葉でこの記事を締めくくらせていただきます。

「これからは人と自分の両方のためになることをしていきたいと思っています」

なるほど、自己だけでなく、また他者だけでなくその両者が幸せになれるバランスの良いとこに落としどころを見つける。

と勝手に解釈して自己満足に浸っている当記事ライターでした。

このあと彼は、出家1周年を機に韓国に帰り、在家人に戻った後に仏教大学に通い、卒業後は本格的に大乗仏教のお坊さんになるという計画を語ってくれました。

スリヤさんの人生に幸あれ!
 
 

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